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世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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父親たちの星条旗

「フラガール」を観るつもりが、上映20分ほど前に行くと、すでに満席ですと断られてしまいました。
「あ、じゃあいいです」と男前に答えて、もうひとつの候補として挙げていた「16ブロック」のほうへ。
しかし、こちらも上映劇場に辿り着いたら、開始時間をまさに10分ほど過ぎたところでした。
10分くらいの遅刻なら途中入場もアリかな・・・と一瞬迷ったのですが、まぁ、周りの人にも迷惑でしょうしね。
諦めました。

このまま次の開始時間まで二時間ほど待とうかどうしようか迷いましたが、時間潰す当ても特になかったので、その場で他に面白そうな映画を探すことにしました。
そして選んだのが「父親たちの星条旗」です。

もともと太平洋戦争に関心のあるぼくですから、この映画も興味はあったのですが、選定段階ではなんとなく食指が動きませんでした。
理由の半分が、戦闘シーンが怖そうだから。
たとえ映画とは言え、血を見るの怖いんですよ。
残る半分が、まぁ、どう見たって楽しい映画じゃなさそうですもんね。

内容はというと、太平洋戦争における日米最大の激戦地である硫黄島の戦いをアメリカ側の視点から描いた作品です。
長引く戦争に米国民の間に厭戦気分が高まり始めていたそんなとき、硫黄島の最重要拠点である擂鉢山を陥落させ、その頂上にいままさに星条旗を付き立てようとする米兵たちの姿を写した一枚の写真が新聞に掲載されました。
その写真に米国民は熱狂します。
戦費の調達に頭を悩ませていた米政府は、これは使えるとばかりに、写真に映っている兵士のうち生き残った三人を硫黄島の英雄として帰国させ、戦時国債を売り込むための広告塔として利用します。
しかし、その写真に撮られた旗は勝利の瞬間に立てられたものではなく、後になって立てられた二本目の旗だったのです。
作られた英雄象、戦場とはあまりにもかけ離れた生活に、三人の兵士たちは翻弄されて行く──といった感じの内容です。

映画のメインは硫黄島での戦闘ではなく、「三人の兵士のその後」にあります。
とはいえ、戦闘シーンはものすごい迫力でした。
観ていてもう、何度「無理無理無理無理──」と思ったことか。
ぼくには絶対無理だ。
戦場で戦うなんて。
生きるか死ぬか、運やんあれ。

血がドロドロ出たり生首転がったり。
まぁ~リアルというか生々しいと言うか。
実際の戦争もこんなもんなんだろうと思わせるのに十分な迫力でした。
とはいえ、いちおう回想シーンという扱いになるからか、映像の色合いがくすんだ感じになっていたので、めちゃくちゃショッキングというほどではありませんでした。
ぼくの許容範囲内、なんとかセーフです。

で、この映画。
面白いかどうかというと、けっこう微妙です。
そもそもが、「戦争に英雄などいない」ってのがテーマですから、カタルシス的な盛り上がりは期待しないほうがいいです。
ドキドキするのは戦闘のシーンくらいで、あとはかなり淡々としています。
エンターテインメント映画ではないですから、興奮とか感動とか、そういうのは期待しないほうがいい。

じゃあ、つまらない映画かというと、そうでもない。
なんというか、考えさせられる映画ですね。
一番印象的だったのは、やっぱり、日本が「欲しがりません勝つまでは」とやっているときに、アメリカでは「国債売ってビジネスだ」ってな感じでやっていたんだなぁってこと。
そりゃ勝てんよ・・・と思いつつ、アメリカがベトナムで負けた理由がなんとなく分かった気がする。

あと、映画の中身と関係ないところでものすごい気になったのは、ぼくの隣に座った人は、どう見ても戦前のお生まれのようでした。
まさか実際に硫黄島で戦った兵士ってことはないでしょうけど、戦争体験者があの映画を見たらどんな気持ちになるのかなぁと。
あの生々しい戦闘シーンは、実際に戦場に立った人ならば、当時の記憶を思い出させちゃうでしょ。
by kude104 | 2006-11-02 23:59 | 映画