世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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タグ:昭和陸海軍の失敗 ( 1 ) タグの人気記事

いま文春新書の「昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか」という本を読んでいるんですが、これがなかなか面白い。
「どうして日本は勝ち目のない戦争に突入したのか」というのは、ぼくにとって知りたい謎のひとつなのですが、本書を読んでいると「なるほど、だからか」と大いに頷ける。

答えは、一言で言うならば、「無謀な戦争を回避できるだけの優秀な人材がいなかったから」ということになるのだけど。
なぜ優秀な人材がいなかったのか――それが本書を読めばよく分かる。

能力ではなく、人間関係によってポストが決まる。
失敗しても、責任を取らない、問われない。
うーむ、まるでどこかの企業かお役所のようだ。

また、軍人を育てるためのエリート教育システムというものの弊害も大きくあるようです。
たしかに優秀な人材を集めてエリート教育を施しているわけだけど、サッカーに例えるなら、ドリブルとシュートばかりを徹底的にたたき込んでいるようなもので。
パスであるとかフォーメーションであるとかセットプレーであるとか、要するに、ゲーム全体を見通してチーム全体としてどう戦うべきかというところは、まったく教育されていない。

日清日露のあたりまでは、実戦経験者がいたことと、戦争というものがまだ単純であったおかげで問題が表面化しなかったけれど、昭和になって、実戦経験者はいなくなり、戦争も国家総力戦で複雑になってしまい、対応できなくなったんだなぁ。
近代サッカーが高度なチームプレーになったのに、日本には一度も試合をしたことがないドリブルとシュートだけの選手しか居なくなっちゃったって感じです。
そりゃ負けるよ。

なまじエリートコースを歩いていない軍人のほうが、軍の傍流に追い出されることで逆に外の世界と触れる機会を持つことができ、それで視野が広くなり、有能な人になっている。
でも、エリートコースを外れると中枢には入れないから、国家の大計を担うことができないという皮肉。
前線の指揮官を見ると優秀な人が多くて、なるほど開戦当初の破竹の快進撃も頷けるのだけど、これも逆に言えば、そういう人たちが中枢に行けなかったということでもあるのでしょう。
短期的には現場の能力でどうにかできても、中長期的には経営陣の経営戦略がものを言うのは、ビジネスだけの話じゃない。

また、これは軍人だけの話ではなく、世の中というのは、慎重派と行動派が対立すると、たいてい行動派が勝っちゃうんだなぁ。
行動派のほうが熱量が高いし、毅然として勇ましく映るから。
あと、武力に訴えるという選択肢は、だいたい行動派のお家芸でもありますし。
で、良識派というのはだいたい慎重派になるので、慎重派と行動派が対立すると、結果として良識派が駆逐されていなくなってしまう。
そうなったら、あとは暴走して自滅するのを待つだけです。

とまぁ、こうして見ると、旧日本軍が特別どうこうという話ではなくて、普遍的な組織論のお話であると思います。
いまの政治の官僚機構とか、大丈夫なんだろうかと思ってしまいますよね。
また、世論がイケイケになると、それは「危険」のシグナルだと思って用心したほうがよさそうです。
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by kude104 | 2008-04-19 23:59 |