世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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今日テレビ放送していました映画「ブレイブ ストーリー」を観ました。
小説のほうは大分昔に読んでいますので、小説→映画の順番で観たものとしての感想ですが、いや、ひどいなこれは。
もうまったくのダイジェスト映像になっちゃってますやん。
これ、映画のみで観た人には展開が早すぎて、なにがなにやら良く分からないんじゃないかな。
とはいえ、もともとあの小説を2時間の枠に収めること自体に無理があるので、これは制作者サイドの能力の問題というよりは企画の問題というべきだろうとは思いますが。

ただ、脚本面でイマイチなのは上記のとおり許せるとして、映像面でもう少し頑張って欲しかったところです。
カメラアングルというか、絵の動かし方、演出の仕方というか、もっと映像的に「見せ場」にできるシーンは多々あったように思います。
スクリーンで観ると、もっと迫力感じたのかなぁ。

絵の面白さについてはジブリが、異世界に赴き冒険する脚本については初期のドラえもん映画が、それぞれやっぱり秀でているなと再確認する思いです。

その脚本についてですが、ぼくとしては、ワタルとミツルが競争相手の関係にあって、敗者は元の世界に帰れず異世界で”人柱”にされてしまうという小説版の設定が好きだったので、そこがばっさりカットされているのは残念でした。
映画版の脚本としては、「最初の試練」とか「宝玉集め」とか「オンバ様」とか思い切って全部カットして、ワタルとミツルの対立軸を中心に物語を組み立てたほうが・・・という気がしますが、言うは易し行うは難しでしょうね。

ちなみに、小説を読んだ時の感想エントリーがこれですけど、なるほど、当時のぼくが言うとおり、テレビアニメ化すりゃよかったのになぁと、実際に劇場版を観た今改めてそう思います。
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by kude104 | 2007-05-05 23:59 | 映画
角川文庫、宮部みゆき著「ブレイブ・ストーリー」を読了しました。
いやあ、なかなかぐっと来る物語でしたねぇ。

主人公は小学五年生の少年ワタル。
ある日突然、父親が愛人の元へ去ってしまったことで、彼の家庭は崩壊してしまいます。
そんな彼の前に開かれた、この世界ではない別の世界・幻界(ヴィジョン)への扉。
そこに居るという“運命の女神”に会ってお願いすれば、ひとつだけ願いを叶えてもらえるという。

追い詰められた母親がワタルとの無理心中を図るに至って、彼は決意します。
幻界へ行き、運命の女神に会って、この理不尽な運命を正してもらうことを。
父親が出て行かないように、もう一度家族が仲良く暮らせるように、運命を変えてもらおうと。

──と、ここまでが導入部のあらすじです。
「ブレイブ・ストーリー」はファンタジー世界の冒険譚ですが、その冒頭、全体の四分の一の分量を使って、ワタルがファンタジー世界を旅する動機が描かれます。
ここが丁寧に描かれていることで、ワタルの旅が説得力を持つわけですが、でも、「剣と魔法の冒険譚」を楽しむつもりでいた人間には、いったいいつになったら冒険が始まるのか・・・という気分になります。

そうしてようやくのことで幻界に舞台が移ったと思ったら、今度は、いままで読んでいた導入部とがらりと雰囲気が一転するので、かなり戸惑います。

「ブレイブ・ストーリー」で描かれる幻界は、なんというか、コンピュータゲームのRPGのイメージそのものといった印象です。
「指輪物語」のようにリアルな空想世界でもなければ、「ハリー・ポッター」のようにイマジネーションあふれる魔法世界でもない、といった感じで、簡単に言うと安っぽい印象を受けます。
導入部が現実世界で、しかもそこで描かれるドラマが生々しいだけに、余計にそう感じるのでしょうけど。

文庫版だと、「ブレイブ・ストーリー」は上中下の三巻講成になるのですが、上巻の終わりが、ちょうど舞台が現世から幻界に切り変わるところです。
いちばん戸惑うところ。
ここで巻が変わるのはちょっともったいないというか、どうだろう、上巻だけで見切って読むのを止めてしまう人も居るんじゃないかと心配です。
かく言うぼく自身が上巻の終わりでちょっとダレたのですが、中巻に移ってからは最後まで一気に読み切る面白さでした。

なにが面白いって、女神様の元に辿り着き運命を変えてもらってハッピーエンドな物語と思いきや、だんだん様子が変わってくるあたり。
幻界を旅するうちに、ワタルは様々な“理不尽”を目にし、経験することになります。
様々な人に出会い、幻界の人々を好きになればなるほどに、彼らの理不尽な運命もどうにかしてあげたいと思い始めます。
しかし、叶えられる願いはひとつだけ。
誰かを犠牲にしなければ、自分の幸せは叶えられないのか──?
自分を犠牲にして他人の幸せを叶えるという選択は、果たして正しいのか──?

物語を面白くするもうひとつの要素は、ミツルの存在です。
ミツルはワタルと同様、自分の運命を変えるために現世から幻界にやってきた“旅人”です。

ミツルは、父親に家族を殺され、自分一人が生き残ったという過去を持ちます。
だから、なんとしてでも、せめて妹だけでも生き返らせたいと願い、幻界への扉を開きます。
彼の過去はあまりにも悲惨で、決意はあまりにも硬く、それゆえ彼はなにも顧みず、遮るものはすべてなぎ倒し、ただただ冷酷に旅を進めていきます。

ワタルとミツル。
それぞれに女神に会いたいという十分な動機を持ちますが、でも、女神の元に辿り着き願いを叶えてもらえるのはどちらか一人だけ。
そして、敗れたもう一人は“人柱”となって幻界に留まらなければなりません。

物語の王道としては、目的のためには手段を選ばないミツルよりも、お人よしなワタルが勝つのが道理ですが、そう単純には終わらないぞというのが宮部さんの小説の面白いところです。
実際、終盤に差し掛かる時点でワタルの敗北がほぼ確定し、彼は旅を諦めてしまいます。
で、そこからの展開が、読んでいてぐっと来ましたねぇ。

個人的に弱いんですよ、敗者の戦いって言うんですか。
たとえ負けると分かっていても、たとえ敵わなくとも、命尽きるその瞬間までお前は戦い続けなければならない!っていう物語。

自分と母を捨てて愛人の元へ走った父親を取り戻したいという当初の目的は、もはやそこにはありません。
上巻のあの導入部があるからこそ、この展開が効いてくるわけだけど、ほんと上巻の時点で予想していたのとはまるで違った物語になったなぁというのが正直な感想です。
もちろん、いい意味で。

久々に冒険ファンタジー物語らしい物語を、少年の成長物語らしい物語を、心行くまで堪能しました。
これ読むと、なんかちょっと、また昔のようにRPGで遊んでみたくなっちゃいますね―。


ところで、これもアニメ映画になって只今公開中ですが、どうなんでしょう。
この物語を2時間にまとめるのって、かなり難しいと思うのですが。
この物語はワタルの心の成長の物語なので、エピソードを駆け足でなぞるだけだと、なんだか有り勝ちなRPGっぽいアニメになりそうです。
劇場映画よりはむしろ、テレビアニメのほうが向いているんじゃないだろうか。
NHKあたりがテレビアニメ化すれば面白いのにと思うけど、フジテレビが映画化しちゃった以上、それはないな。
ちょっと残念。
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by kude104 | 2006-08-23 23:56