世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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「米騒動」は面白い

今日のNHK「その時歴史が動いた」は、米騒動について。
とりとめもなく興味深かった。

米騒動の発端となった米の相場価格の上昇は、第一次世界大戦の特需によって発生した成金マネーが投資先を求めて米相場に流れ込んだためとのこと。
なるほど。
やはり企業の業績が同じでも、株式市場にマネーが多く流れ込めば株価は上がるということだな。

で、米価の高騰に貧窮した富山の女性たちが抗議行動を起こすわけだが。
彼女たちは米価の高騰が投機によるものだとは思いもせず、「米の値段が上がるのは、米が足りないからだ」→「米を県外に持ち出させるな」という発想で、米商人に「米を県外に持ち出さないで」と訴えたにすぎない。
言ってしまえば、無知による見当外れの抗議行動だ。
でもそれが、時代を動かした。

やはり、突発的に時代を動かすエネルギーというものは、賢い人間からではなく無知なる者から生まれるのだろうな。
もし彼女らが「米の高騰は投機のせいだ」と理解していたら、たぶん抗議行動は行われず、結果、時代は動かなかっただろう。
これはたぶん、無知なる者の行動は理屈ではなく感情で動くので、分かりやすくて共感しやすいからだろうと思う。

で、そうした富山の米騒動が各地に飛び火するわけだけれども。
各地で起こった騒動というのは、実際のところ、富山の米騒動とはほとんど関係無い。
各地の低賃金労働者が、自分たちの待遇改善を求めてそれぞれ思い思いに暴動を起こしたというのがたぶん実態だ。

この一連の騒動は、もともと政治を良くしようとか政府に物申そうとか革命をしてやろうとか、そういう大局観に立って行われた運動というものではない。
言わば「俺の取り分をもっとよこせ」という、ごく私的な要求に過ぎない。
でも、それだからこそ、倒閣にまで延焼したのだなと思う。

発端となった富山の米騒動が、無知ゆえの単純な抗議行動であったために、それが逆に全国で貧困にあえぐ人々の共感に火をつけたのだろう。
もしこれが、「米の投機相場による米価高騰の是正を政府に要求する」などというきっちりした運動であったら、共感しにくいではないか。

そして、各地でそれぞれが勝手ばらばらに起こしている騒動を、「政府に対する抗議行動である」という図を描いて、ひとつの大きな運動に仕立て上げたのが新聞だ。
メディアが、自分たちのジャーナリズムにある種自己陶酔したくなる気持ちも分かる。
倒閣に至った“米騒動”を作ったのは、メディアだ。
個々の騒動の当事者たちは、自分たちが“米騒動”の一端を担っているなどと、おそらく気づいていなかっただろうと思う。
あとから、事件全体における自分たちの立ち位置を知らされて、その時初めて何が起きていたのかを知ったのではないか。
“革命”なんて、案外そんなものなのではないかという気がする。

でもって、投石や放火や襲撃などを行った正義の暴徒の皆様方を見ていると、たとえばネットで過剰な正義行動を行う人たちがだぶる。
ぼくは個人的にそういう人たちは嫌いだけど、革命は彼らのような人間なくして起こり得ないのだろうとも思った。
もし、社会のネット依存がもっと高まり、サイバーテロが比較的容易にできるようになれば、ネットイナゴと呼ばれるような人々が革命の実行力となるのではなかろうか。
自宅にいながら、マウスクリックで市民革命──みたいな。

そうして、この米騒動によって世に現れた“大衆の力”が、普通選挙法など大正デモクラシーの時代を切り開いていくわけですが。
歴史を見るに、世の中は選挙権を手にすることと引き換えに、革命する力を失うのではないかという印象を受ける。
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by kude104 | 2006-10-18 23:59 | テレビ