新たなる英雄譚「楊家将」
2006年 08月 07日
PHP文庫、北方謙三著「楊家将」を読了。
なんとなく歴史小説が読みたくなって、本屋でたまたま手に取った本でしたが、非常に面白かったです。
さすが、吉川英治文学賞受賞は伊達じゃないな。
中国では「楊家将」は、三国志、水滸伝と並び人気のある物語だそうですが、日本ではまったく無名ですよね。
それもそのはず、日本で「楊家将」が小説になったのは、この「北方楊家将」が初めてだそうです。
物語の舞台は、中国「宋」の時代の初め(960年ごろ)頃。
宋と、北方騎馬民族の国「遼」との戦争の物語です。
主人公は宋の武将「楊業」です。
彼は楊家軍という、宋の中にあって最強の軍隊を率いた武将でした。
味方だけでなく敵からも「楊無敵」と称された軍事の天才として描かれます。
ただ、宋に在って、彼の立場は外様でしたので(もともとは北漢から宋に降った)、宋軍という組織の中では常に難しい立場に立たされてしまいます。
楊業は生粋の武人で、帝に対する忠義も厚く、戦えば最強。
そんな彼が、言わば政治的な思惑の中で不自由を強いられ、思うように戦えない。
その歯がゆさが、この物語を非常にドラマチックにしています。
つまりは、それが楊業を「悲劇の英雄」にしているわけです。
対する敵国の遼にも、耶律休哥という軍事の天才がいて、楊家軍の前に立ちはだかります。
言わば、最強のライバルですね。
「北方楊家将」の面白いところは、敵国である遼の登場人物たちも、非常に魅力的に描かれていることです。
この小説を、遼の、耶律休哥の物語として読むことも、十分に出来るくらいです。
これ、いちおう史実に基づいた物語なので、初めから結果がネタバレになっているようなものです。
でも、ほとんどの人がそうだと思いますが、ぼくはこの時代にまるで詳しくありません。
ですから、正直、物語がどう展開するのかまったく分からず、手に汗握りながら読みました。
こういうときは、無知ってのは得ですね。
ただ、途中で先にあとがきを読もうとして、ネタバレっぽい記述が目に入り、慌てて閉じたんですが危なかったです。
歴史小説にネタバレもへったくれもないとは言え、先に知ってしまったら、やっぱり興醒めしちゃいますからね。
とまぁ、三国志が好きな人なら、間違いなく楽しめるはず。
人間ドラマも面白いですし、戦いの描写もリアルで迫力があって面白い。
なにより、やはり、英雄譚というのはかっこいい。
先日、このブログで誇りだなんだと書いたのは、この本の影響です。
楊業自身もそうですが、楊業には7人の息子がいて、それぞれが楊家の男子であることの誇りを持って戦場を駆け巡るわけですよ。
兵もまた、楊家軍の兵であることに誇りを持って戦うわけです。
楊家軍であることの誇りは、彼らを戦場のもっとも過酷な場所に率先して向かわせます。
方や、潘仁美・藩章という宋の名門の親子が登場します。
彼らの「名門である」という誇りは、彼らを死地へは向かわせません。
彼らは、ただ気位が高いだけです。
こういう物語を読むと、自分も誇り高くありたいものだと思いますね。
ま、実際には、ぼくはたぶん調練で死んじゃう名も無き兵士だろうけど。
なんとなく歴史小説が読みたくなって、本屋でたまたま手に取った本でしたが、非常に面白かったです。
さすが、吉川英治文学賞受賞は伊達じゃないな。
中国では「楊家将」は、三国志、水滸伝と並び人気のある物語だそうですが、日本ではまったく無名ですよね。
それもそのはず、日本で「楊家将」が小説になったのは、この「北方楊家将」が初めてだそうです。
物語の舞台は、中国「宋」の時代の初め(960年ごろ)頃。
宋と、北方騎馬民族の国「遼」との戦争の物語です。
主人公は宋の武将「楊業」です。
彼は楊家軍という、宋の中にあって最強の軍隊を率いた武将でした。
味方だけでなく敵からも「楊無敵」と称された軍事の天才として描かれます。
ただ、宋に在って、彼の立場は外様でしたので(もともとは北漢から宋に降った)、宋軍という組織の中では常に難しい立場に立たされてしまいます。
楊業は生粋の武人で、帝に対する忠義も厚く、戦えば最強。
そんな彼が、言わば政治的な思惑の中で不自由を強いられ、思うように戦えない。
その歯がゆさが、この物語を非常にドラマチックにしています。
つまりは、それが楊業を「悲劇の英雄」にしているわけです。
対する敵国の遼にも、耶律休哥という軍事の天才がいて、楊家軍の前に立ちはだかります。
言わば、最強のライバルですね。
「北方楊家将」の面白いところは、敵国である遼の登場人物たちも、非常に魅力的に描かれていることです。
この小説を、遼の、耶律休哥の物語として読むことも、十分に出来るくらいです。
これ、いちおう史実に基づいた物語なので、初めから結果がネタバレになっているようなものです。
でも、ほとんどの人がそうだと思いますが、ぼくはこの時代にまるで詳しくありません。
ですから、正直、物語がどう展開するのかまったく分からず、手に汗握りながら読みました。
こういうときは、無知ってのは得ですね。
ただ、途中で先にあとがきを読もうとして、ネタバレっぽい記述が目に入り、慌てて閉じたんですが危なかったです。
歴史小説にネタバレもへったくれもないとは言え、先に知ってしまったら、やっぱり興醒めしちゃいますからね。
とまぁ、三国志が好きな人なら、間違いなく楽しめるはず。
人間ドラマも面白いですし、戦いの描写もリアルで迫力があって面白い。
なにより、やはり、英雄譚というのはかっこいい。
先日、このブログで誇りだなんだと書いたのは、この本の影響です。
楊業自身もそうですが、楊業には7人の息子がいて、それぞれが楊家の男子であることの誇りを持って戦場を駆け巡るわけですよ。
兵もまた、楊家軍の兵であることに誇りを持って戦うわけです。
楊家軍であることの誇りは、彼らを戦場のもっとも過酷な場所に率先して向かわせます。
方や、潘仁美・藩章という宋の名門の親子が登場します。
彼らの「名門である」という誇りは、彼らを死地へは向かわせません。
彼らは、ただ気位が高いだけです。
こういう物語を読むと、自分も誇り高くありたいものだと思いますね。
ま、実際には、ぼくはたぶん調練で死んじゃう名も無き兵士だろうけど。
by kude104
| 2006-08-07 23:59
| 本