世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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つきのふね

森絵都著の『つきのふね』を読みました。

買って、実質一日で読んでしまった。
216ページしかないんだもん。短けーよ。
もちろん、面白かったので一気に読んでしまったというのもありますが。

ジャンルとしては、そういう分類があるとは知らなかったけど、ヤングアダルト小説というものになるそうな。
いわゆる、ティーンエイジャー向けってことのようです。
そういう読み易さみたいなものは、たしかにあった。
そのせいもあって、思っていた以上に、一気に読み終えてしまったなぁ。

主人公は、中学二年生のさくら。
あるとき、万引きをしているところを店の店長に見つかります。
その場を助けてくれた店員の智さんと仲良くなり、彼の部屋に入り浸るようになります。
その事件以来、親友の梨利とは関係がギクシャクしていて、また、学校でも仲間外れになった彼女にとって、智さんのところは唯一安らげる場所でした。
でも、智さんは、全人類を救うための宇宙船を設計することが自分の任務であると思い込んみ、日夜せっせと設計図を描いています。
一方、梨利は、彼女から離れどんどん非行グループへと引きずり込まれて行くのですが、彼女にはどうすることもできません。

──と、あらすじを説明すると、なんだか鬱々と気が滅入る話のようですが、実際はそれほどでもありません。
智さんの存在感が、まるでおとぎの世界の住人のように、穏やかな空気を作り出しているからでしょう。
そしてもうひとりの登場人物である同級生の勝田くんが、やたらと行動的でコミカルだから。
こういうキャラクターを配置する辺りが、上手いなぁと思います。

物語は、「はたして彼女は親友と仲直りできるのか?」「設計図は完成するのか?」といった興味で進んでいくのですが、途中から、智さんの症状がどんどん進行し始め、町に放火魔が出没するに至って、にわかに緊張し始めます。

そして、緊張が臨海に達し、弾けてからの展開は、まさに怒涛の展開というにふさわしい。
いやー、すげい。
これだけのスピード感でこれだけ心温まるラストに着地されたら、感動せずにいられようか。

登場人物は皆なにかしらに逃避している。
そこから抜け出そうというとき、あるいは、そこから追い出されて、もうダメだと思ったときに、踏みとどまらせるものは何か・・・という物語であると見た。

物語の最後の二行がずーんと来るね。
そうありたいと心から思います。
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by kude104 | 2005-12-12 23:59 |