世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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ニュータイプを継承するために

昨日は近所の(というほど近くも無いけど)大学の講演に行って来ました。
なぜならば、講師が富野由悠季さんだったから。
富野由悠季さんといえば、『機動戦士ガンダム』の監督さんです。
で、その講演のタイトルが表題の「ニュータイプを継承するために」だったというわけ。

うーむ、すげい。
こんな講演を企画しちゃう甲南大学もチャレンジャーだなぁ。

「ニュータイプを継承するために」というタイトルは、富野さん自身が「客寄せのためのキャッチフレーズ」と仰った通りで、別にニュータイプ論を延々聞かされるとかそういうことはありませんでした。

じゃあ、どういった話だったのかというと、これがなんとも要約するのが難しい。
富野さんの喋りをご存知の方はお分かりのとおり、話が拡散しているのか収斂しているのかいまひとつ分からない感じで。
「まとめるとどういう話だったか」というのはなんとなく理解しているつもりですが、じゃあそれを改めて自分の言葉で再構築して話すとなると、難しいんだな。

・・・うん、やっぱ難しい。
まとめてみようとしたけれど、やっぱり無理です。

ひとつ印象深かったのは、最後の質問タイムで、現在妊娠中ですという女性が、子供を産むのが不安なので何かアドバイス的な言葉を一言下さいといった質問(?)をされたのに対する富野さんの回答です。

まとめるとこんな感じだったでしょうか。
子供は基本的にうっとおしい生き物だから、ときに子供を殺してしまいたいと思うこともある。
そのことを異常だと思わないで下さい。
誰だって、みんなそうだから。
殺意を抱くことが、愛情を否定するものだと考えないで下さい。
人間の感情なんてのは、それくらいあやふやというか、瞬間的に揺れ動くものだから。
でも普通、よほどおかしくない限りは、三ヶ月に1回くらい「この子がいてくれて幸せだ」と思う瞬間が必ずあるから。
それさえあれば、殺したくなっても、絶対に大丈夫だから安心して下さい──みたいな。

これを聞いていてふと思ったのは、今の社会って、人間の悪性というか暗黒面をことさら見ないように蓋をするじゃない?
なにか事件が起こるたびに、「普通の真っ当な人間には、そんな暗黒面などありませんよ」といった態度を取る。
異常な人間が起こした異常な犯行です、みたいな。

それが逆に、人を追い詰めてしまっているような部分って、あるんじゃないのかなぁと思います。
「子供に殺意を覚える私は異常なんだ」と思いつめることで、どんどんその深みにハマって行ってしまう、みたいなことが。
それを、「それで普通なんですよ」と言ってあげることでどれだけ救われるかと思うと、富野さん、アドリブの質疑応答なのにええこと言うなぁと感心しました。

自分の中の暗黒面に出くわしたときに、たぶん、それを否定しようとするとダメなんじゃないかな。
「いま私の中の暗黒面が開いた!」と自覚し、でもそれは、自分の中の幸せなものに必ず負けるんだと信じること。
そうすれば、たぶん大丈夫なんじゃないかという気がします。
きっと踏み止まれるんじゃないだろうか。

リアリストの上にロマンチストな富野さんらしいメッセージだと思います。
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by kude104 | 2005-12-11 23:38