世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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誘拐の果実

真保裕一著の『誘拐の果実』を読みました。
誘拐事件を扱ったミステリーで、なかなか楽しめました。

「大病院の院長の孫娘を誘拐し、身代金として、入院患者の命を要求する」というアイデアがまず面白い。
誘拐事件というと身代金の受け渡しが最大の駆け引きとなるのですが、これなら「受け渡し」が存在しないので、犯人側にとってかなり安全です。

構造としては「人質事件」なんですが、それを「誘拐事件」に見せかけるところが面白いですね。
事件としてもですが、小説としても。

これだけでも、「おっ、目新しいね」と思うのですが、本書では更にもう一件、別の誘拐事件が前後して発生します。

この第二の誘拐事件に用いられるアイデアは、「身代金を株券で要求する」というものです。
作中で、「この身代金受け渡し方法が公になると、模倣犯が次々現れるぞ」と警察が焦るシーンがありますが、「たしかに、これはいいアイデアだ」と思ってしまいました。
もしぼくが身代金を要求するときは、これで行こう。

ま、「本当に悪用されるとシャレにならないアイデアは使わない」といった話を聞いたことがありますので、おそらく実際には使えないんでしょうけど。

で、言うまでもなく、ストーリー展開としては、この2つの事件が実は関連していて・・・となるわけです。
ひとつひとつバラバラに使っても、それで一本小説が書けちゃいそうなアイデアを、惜しげもなく組み合わせて使ってくるあたりにシビれます。
貪欲だなぁ。

ただ、個人的には、最後の「動機の解明」がいまひとつだったかな・・・と思わないでもありません。
いちおう「最後のどんでん返し」として配置されているのでしょうが、残念ながら、さほど上手く機能していないように思う。
なんとなく、取って付けた感が否めません。

ま、個人的な好き嫌いの問題でしょうけど、ぼくとしては、「見事、大金をせしめました」というオチの方が好きですね。
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by kude104 | 2005-12-09 21:11 |