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世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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ゲームのなかの戦争

昨日の「NNNドキュメント'05」というテレビ番組は、「ゲームのなかの戦争 あなたは人を殺せますか?」という内容でしたので興味を引かれて見てみました。

昨今話題のゲームの中の暴力表現を巡る、フェアで濃い内容を期待したのですが、いまひとつ煮え切らない内容にガッカリ。
なんというか、「たとえゲームの中とはいえ、人殺しは如何なものか」とか「ゲームばかり遊んでいて、現実感が希薄になってはいけない」という主張を、それとなく臭わせるような番組作り。

「これはいちおうドキュメンタリー番組ですから、良い悪いと明言はしませんよ。でも、言いたいことはわかるよね?」みたいな。
実に小賢しいというか臆病というか。

でも、内容的にはたいしたことありませんでしたが、出演者がけっこう豪華で、そこは見応えがありました。
ざっと列挙すると、スペースインベーダーの西角友宏氏、パックマンの岩谷徹氏、スーパーマリオの宮本茂氏、ドラクエの堀井雄二氏、メタルギアの小島秀夫氏・・・といった面々。

これだけの面々にインタビューした番組作りって、豪勢だなぁ。
どうせなら、テーマをずばり「ゲーム作りにかける情熱」とかに設定してインタビューして欲しかった。

ただ、アメリカの戦争ゲームについての取材は、内容的にも興味深かったです。
向こうじゃ、軍が率先して戦争ゲームを作っているわけです。
それは、軍のイメージをアップさせて入隊者を募るためのプロパガンダ用として、また、一般向けにリリースされているものはお遊び用だとしても、多少は軍事訓練のシミュレーション用として。

軍お墨付きで作られているので、内容は当然リアルな“殺し合い”ゲームです。
そんなゲームが軍のプロパガンダとして作られていることもあって、ぼくら日本人の感覚からすれば、さすがにちょっと抵抗を感じます。
ぼくですら、「あー、このゲームを遊んで、軍隊カッコイイと思って入隊するやつとか、いるんだろうなぁ」と思ってしまいます。

で、インタビュアーがゲーム開発者に「こういうゲームを作ることは、戦争を支援することにつながりませんか?」みたいなことを尋ねたわけです。
質問の具体的な文言は忘れましたが、「そんなゲーム作って、倫理観は痛みませんか?」みたいなニュアンスの質問ですね。

それに対する、ゲーム開発者の返答が印象的でした。
「このゲームで多少なりとも軍事的な思考能力が身に付き、それで兵士が死ぬ危険を少しでも減らすことが出来ればいいと思っている」みたいな。
それはもう、揺るぎ無い態度で答えるのです。

ああー、そうか。
軍隊を持ち戦争が身近にある国と、そういったことがまったくない日本とじゃ、そのへんの感覚はぜんぜん違うんだなぁって、なんかリアルに感じてしまった。
日本では、戦争ゲームを「バーチャルな人殺しゲーム」としか捉えられないわけですが、向こうじゃ大げさに言えば「実用ゲーム」の側面もあるんだと。

この違いはちょっと面白い。
「ゲームのなかの戦争」というテーマでしたが、ゲームという枠内に留まらず、社会として「戦争を直視している、していない」の差というのもあるのかもしれない。

番組として、もうちょっとそのへん踏み込んでくれたら、面白かったのになー。
by kude104 | 2005-09-19 23:14 | テレビ