人気ブログランキング | 話題のタグを見る

世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

「ライブドア堀江貴文社長への反論」に反論

記者の目:ライブドア堀江貴文社長への反論=渡辺雅春(社会部)(MSN-Mainichi INTERACTIVE)

新聞などの既存メディアが、調査取材能力で圧倒的優位に立っていることは間違いない。
「ニュースサイトの情報を提供しているのは新聞などの既存メディアだ」と仰るとおり、既存メディアが配信する一次情報あってのネットジャーナリズムという図式は否定し得ない。

ただ、なぜネットジャーナリズムが調査取材能力で既存メディアに劣るのかと言えば、能力や使命感・倫理観・責任感といった話よりも、単純に「それでメシが食えるわけではないから」という一点に他ならない。
あと、メディアの肩書きがないとそもそも取材できないというケースも多々あるわけですが。

そういった「特権」が既存メディアに一次情報の独占をもたらしているだけの話であって、「使命感の有無」なんてのは関係のない話です。

調査取材がジャーナリズムの柱の一本だとすれば、取材して得たニュースを「いかに報じるか」はそれと並ぶもう一本の大きな柱といえるでしょう。
取得できる一次情報が同じなら、この部分では既存メディアもネットジャーナリズムも、同じ地平に立っていると言えます。

いかに情報を取捨選択し、いかに伝えるか。
同じニュースであっても、どこに焦点を当て、どこを切り捨て、どういう解釈・スタンスのもとで報じるのかによって白にも黒にも変わりますから、この役割は非常に大きい。

かつてはこれも、既存メディアの「独占」でした。
しかしいま、ブログの出現などで、その独占が大きく揺らいでいるんじゃないでしょうか。

ある事件についてより深く知りたいと思ったとき──これは別に、その事件の一次情報をもっと詳しく知りたいというのではなく、その事件についての様々な解釈を知りたいと思ったとき、すでにほとんどの人がネットを利用しているのではないでしょうか。

ネットジャーナリズムには、調査取材要員がほとんどいない代わりに、ニュースについて「論じる」要員は数限りなく存在する。
特に、自分の得意分野のネタをピンポイントで論じるときのクオリティは、「訓練を積んだプロのジャーナリスト」でも及ばないことがしばしばです。
だって、マンパワーが圧倒的に違うんだもん。

この部分のクオリティで、ともすればネットジャーナリズムに劣り始めたことに対する危機感を、既存メディアはもっと自覚すべきだと思います。
ここが揺らぐと、「わざわざカネを払って新聞とるのもバカバカしい」ってなことになってしまいますから。
ネットよりも圧倒的なクオリティで情報を伝えていれば、「(新聞は)取る必要もない。携帯とネットのニュースサイトで十分だ」なんて言われなくて済むわけですからね。

社会は確かに、倫理観と責任感を持ったジャーナリズムを必要としていますが、それが既存メディアの独占であった時代が終わろうとしている。
下手すりゃこの先、既存メディアは一次情報を「著作権」やらなにやらで独占しなければ、ビジネスとして生き残れなくなるんじゃないでしょうか。

そのとき、倫理観と責任感を持ったジャーナリストは一次情報の独占を良しとするのか?
あるいは、ビジネスとしてジリ貧になってもジャーナリズムを貫くのか?
・・・といったことを考えると、このコラムの内容は堀江さんへの反論としては「無邪気だなぁと」思えてしまいます。
by kude104 | 2005-03-23 21:08 | 時事・社会