世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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Uボート 最後の決断

ではまず、『Uボート 最後の決断』の感想から。
「潜水艦モノにハズレなし」の言葉どおり、楽しめました。

事前に予想していた「敵味方が協力する物語」については、予想よりもずいぶん抑え気味だったのが印象的でした。
中盤あたりで協力態勢に移行して、「やったぜ相棒!」みたいなシーンがあるんだろうと思っていたんですが、なかなかそうならない。
まがりなりにも協力態勢に移行するのは、ほんとうに終盤近くになってから。

やはり、敵として殺し合っていたもの同士が、そう簡単に仲良くなれるはずがないよなぁという、へんな説得力がありました。
このへん簡単に協力関係に持って行かずに、緊張関係を終盤近くまで引っ張ったのは正解だったと思います。

さて、この映画。
基本的には単純に楽しめる潜水艦モノなんですが、ひとによっては微妙にスッキリしない気分が残るんじゃないかと思います。

意地悪な言い方をすれば、米兵の視点で見れば友情と感動の物語になるだろうけど、はたしてドイツ兵の目から見れば、この物語はどうなのか?
それほど幸せな物語ではないだろうと思えます。

分かりやすいところで言えば、本来なら助けないはずの米兵を助けたがために、Uボート内に伝染病が持ち込まれ多くのドイツ兵が死亡するという構造。
ネタバレになりますんで詳しくは書けませんが、それ以外にも、助けたドイツ兵の側が多くの苦しみを背負わされています。

そのへんが、単純に「あー、感動した」とは言えない気分にさせるわけですが、でも、これはおそらく「わざと」なんだろうな。

たとえば、伝染病。
あれを初めからUボート内に蔓延していたとすることは簡単ですし、そのほうが物語として分かりやすいなんてことは、当然考えたでしょう。
でも、そこを敢えて米兵が持ち込むという設定にしたからには、やはりなんらかの意図があったと考えるべきでしょう。

そういう視点で見ると、この映画の柱が「ある命を助けることが、別の命を犠牲にすることにつながる」「ヒューマニズムを発揮することで、背負わなくてもいい苦悩を背負う」ところにあるのではないかと思えてきます。

戦場にあってはおそらく、ヒューマニズムを発揮しないことが最善の行動です。
それを無視し、個人的なヒューマニズムに走ったUボート艦長の行動は、はたして正しかったのだろうか?と考えずにはいられない。

正しいとも間違っているとも言わず、この映画はただその問いだけを投げかけているため、それが微妙にスッキリしない気分として残る。
もちろん、単純に潜水艦モノとしてのスリルを楽しめるし、単純に米兵の立場で見れば感動の物語として楽しるんですけど。

でも、このスッキリしない気分こそが、この映画の醍醐味だろうと思います。
ことさら反戦映画ではないけれど、戦争モノでありながら妙なしみじみ感が漂うのはこのためでしょうし、なにより、「敵味方が協力して~」というアイデアをこういう味付けで料理するとは「やるな、コイツ」という感じです。

ラストのフェンスを挟んでの対面は、なかなかに印象深いいいシーンでした。
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by kude104 | 2005-03-02 20:56 | 映画