世の中の物事についてあれこれ考えるkudeの日記


by kude104
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ハウルの動く城

無事、『ハウルの動く城』を観ることができました。
ということで、今日はもうガチンコで感想書いちゃおう。

まず、声優さんから。
宮崎アニメで声優についてあれこれ言ってもしょうがないというところはありますが、当初言われていた「キムタクの声が・・・」というのは、さほど気になりませんでした。
違和感で言えば、ソフィー役の倍賞さんのほうがキビシカッタですね。

ソフィーの場合、若いソフィーと年老いたソフィーの2通りを声で表現しなければならないので、そのぶん難易度がかなり高くなっています。
年老いたほうはまだしも、若いほうは・・・。
こういうのは、よほどの芸達者な方でないと難しいでしょう。

で、肝心の内容についてですが、映像的な部分での素晴らしさは改めて言うまでも無い。
問題は、ストーリーです。

印象としては、覚悟していたほど酷くはなかったです。
それなりに、ちゃんと楽しめましたよ。
あのくらいなら一般的にもじゅうぶん許容範囲内だろうと思いますが、やはり宮崎アニメということで、皆さんの期待値が異常に高いんでしょうね、きっと。

ストーリー的な完成度は、だいたい『千と千尋の神隠し』と同等か、あるいはちょっと下か、くらいじゃないでしょうか。

世界観の "謎" が特に説明もなく "そういうもの" として描かれているところは相変わらずで、今回だけを取り立てて不満に思うほどではありません。
それに対して自分なりの解釈を考えるも良し、まぁ、ほとんどのひとは「そういうものなのね」とスルーしつつ鑑賞することでしょう。

『ハウル』が『千と~』にくらべてよりたくさんの不評を受けている理由をぼくなりに挙げるとすれば、まず1つ目はラスト10分。
「本来なら30分かかるところを10分で終わらせた」という通り、このラスト10分があまりにも駆け足的すぎる。

本来なら、本編で散りばめられた謎や伏線をすべて拾って消化して終わるのが理想的な閉め方でしょうが、『ハウル』の場合はむしろ、物語が "そういうふう" に閉じることで新たな "謎" を3つ4つ作り出して終わります。

最後の最後にそんな終わり方をするもんだから、鑑賞後の印象が「結局、なにがなんだかわらかない」となる。
最後だけでもきっちり閉じときゃ、客はとりあえず満足して劇場をあとにできるというのに。

これを、締め切りを優先せざるを得なかった結果だからしょうがないと擁護することも出来ますが、本質的な部分で、ジブリの映画作りの態勢と体制の "問題点" があのラスト10分に現れたと考えるべきでしょう。
だとすると、やはり不評は当然の結果と思えます。

次、2つ目の問題。

この『ハウル』は、「不思議の世界に紛れ込んだ主人公が、一生懸命働くことで、そこに自分の居場所を確保して、その世界の人々と心を通わせる」という部分で、『千と~』に似ています。
が、その「自分の居場所を確保する」部分が、『千と~』に比べて、正直退屈です。

構造が同じなのに、なぜ『ハウル』はダレて、『千と~』はダレなかったのか・・・。
その理由はおそらく「不思議の世界」の魅力にあると思います。

『千と~』が、ある種、圧倒的パワーで "誤魔化し" きれた最大の要因は、あの「トンネルの向こうの世界」があまりにも魅惑的だったからに他なりません。

対する『ハウル』は、「動く城」は確かに魅力的です。
でもそれは、外から見た「城が動いている絵」が魅力的なのであって、その中はというと、まぁ普通の中世ファンタジーワールドといったところです。
最初の「おおっ!?」が過ぎると、ソフィーのいる世界に対するワクワク感は急速に失われ、だから、いくらそこでソフィーが頑張っていても、「ソフィーが頑張っている」こと以外の "惹きつけるもの" を感じることができません。

そして3つ目。

一番重要であるはずの、ソフィーが「呪いで年老いる」ことが、物語の中であんまり重要視されていない。
はっきり言って、"元気な老人" を描きたかっただけじゃないの?と。

早い話、あの描き方なら、ソフィーが呪いとは関係なく初めから老人であったとしても成立するし、逆に、ソフィーが終始若いままであったとしても成立するんじゃないかという気がします。

まず、老人になる前のソフィーの描写が圧倒的に足りないので、「あのソフィーちゃんが、こんなおばあさんになって・・・」といった類いの感情移入はない。
「あ、おばあさんになったのね」くらいなもんでしょう。

さらに、元の姿に戻りたいと切望する様子や老化した境遇を嘆く様子も描かれていないので、やっぱり「若者が老人にされた」ことから来る感情移入はない。

加えて、中盤以降、わりとほいほい「若返り」するので、老人であること自体がどうでもいい扱いになってくる。

印象としては、「カエルにされる代わりに老人にされた」くらいの軽さでしかなく、しかも、カエルにされるより不幸度が低いので、ソフィーがおばあさんにされたこと自体が「べつにどーでもいいや」って気になってしまう。
それならそれで良いんだけど、なんかちょっと中途半端に高齢化社会に対して擦り寄ってみました的な感じがしてイヤなんだよなぁ。

とまぁ、ぼくが感じたのは大きく以上の3つです。


『ハウル』を簡単に説明するなら、舞台設定は『もののけ姫』を中世ヨーロッパに持っていった感じで、ストーリーは『千と千尋の神隠し』をラブストーリー仕立てにした感じ。
そういや、恋人同士のキスらしいキスシーンがあるって、宮崎アニメ初じゃないですかね。
べつに、ちっとも興奮したりしませんけど。

以上のようなことを踏まえて観れば、楽しめるんじゃないかと思います。
小さなお子様やおっきなお友達が喜ぶというよりは、カップル向けの映画でしょう。
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by kude104 | 2004-12-01 19:18 | 映画